宿直ビルメンの醍醐味といえば「仮眠時間」ですが、あくまでも深夜トラブルに緊急対応するための「待機時間」でもあります。基本的には何もなく朝を迎えられる日がほとんどですが、ときには仮眠中でも起こされて対応を余儀なくされる深夜トラブルがあります。
宿直ビルメン歴6年の私が、これまでに実際に経験した深夜トラブルをまとめました。これから初めて「宿直」のあるビルメン現場へ転職を検討している方の参考になれば幸いです。
宿直ビルメンは本当に仮眠できるのか?
宿直ビルメンは、基本的には「9時〜翌9時」といった24時間常駐勤務です。その中で「仮眠時間」が設けられていますが、あくまでも待機扱いなので、トラブルがあれば起きて対応しなくていけないのが宿直ビルメンの宿命。
平和な日であれば、ぐっすり眠って朝を迎えるだけで勤務終了です。しかし「いつ起こされるかわからない」という前提なので、慣れないうちは気が休まらないかもしれません。宿直ビルメンは「仮眠時間=完全に休めるわけではない」という点を理解しておく必要があります。
なお、まともなビルメン会社であれば、深夜対応した時間は申告すれば深夜残業として扱われますが、ハズレ会社だと「宿直勤務の24時間は勤務時間」という主張で、残業代は一切出ない場合もあります。ここは現場ガチャ、会社ガチャ要素が強い部分です。
仮眠中に実際に起こされた深夜トラブル10選
私はこれまで、商業施設・オフィスビルあわせて4現場にて宿直勤務を経験してきました。現場によって1人宿直・2人宿直・3人宿直も経験しています。1人宿直のときはすべてのトラブルを1人で対応する必要がありますが、2人以上だと相方がいるだけで精神的にはかなり楽になります。
今回紹介するトラブルについて、頻度(あるある度)、精神的ダメージも合わせてまとめました。
① 消防設備の発報(感知器)
精神的ダメージ度:★★★★★
あるある度:★★★★☆
【商業施設での経験】
火災感知器が原因による発報が多かったです。雨や湿気に弱い建物で、立体駐車場など外気に晒された感知器や配線に緑青が発生してしまい、悪化すると断線扱いとなり「監視線異常」や「無応答」が出やすい状況でした。
対応として、図面から該当感知器を特定して、感知器本体や配線から腐食部分を切り直して結線します。感知器本体の差し込み口付近で腐食していればすぐに終わる作業だけど、配線側だった場合は特定に時間がかかるので、仮眠時間がゴリゴリ削られます。
雨の日の宿直は「どうせ鳴るんだろうな」と覚悟して仮眠に入っていました。
② 電気設備の発報(漏電注意)
精神的ダメージ度:★★☆☆☆
あるある度:★★★★☆
【商業施設での経験】
雨や湿気が原因で、駐車場照明や外灯回路の「漏電注意警報」が頻発していました。梅雨時期は高確率で発報するので憂鬱です。同じく雨の日の宿直は覚悟して仮眠に入っていました。
これは「雨だから」という理由が明確だったので、その場では放置し、後日の日中に絶縁調査と改修をしていました。比較的すぐ仮眠に戻れる案件です。
③ 水槽周りの満水・減水トラブル
精神的ダメージ度:★★★★☆
あるある度:★★☆☆☆
【商業施設での経験】
汚水槽・雑排水槽のフロート固着による満水警報や、膨張タンクの満水警報がありました。当たる人は当たるし、当たらない人は当たらない頻度でした。
対応として、各水槽の場合はポンプの手動運転で排水、膨張タンクは排水バルブから水を抜いて対応します。どちらも10〜20分くらいかかるので地味に仮眠時間が削られます。
後日、水槽からフロートスイッチを引き上げ、フロートに付着したブツを手でもぎ取っていました。翌日の出勤者が対応してくれればいいのに、誰もやってくれない場合は、自分が次回出勤した際に回ってきます。
④ 深夜の漏水トラブル
精神的ダメージ度:★★★★☆
あるある度:★☆☆☆☆
【商業施設での経験】
警備員の深夜巡回中、無人の飲食テナントから水がバシャバシャ漏れ出している状況を発見し、起こされて対応しました。後付け給湯配管の接続部が緩んでいただけで、よく見るとパッキンが紛失。C工事区分なのでバルブ止水だけしてテナントへ報告。
対応として、翌朝に所長から「パッキンならこれ使え」と自前のパッキンを渡されて復旧。明け残業でしたが、残業代は出ませんでした。仮眠も削られ、最悪です。
⑤ 夜間作業中の業者絡みのトラブル
精神的ダメージ度:★★★★☆
あるある度:★★★★☆
【商業施設での経験】
商業施設は、業者の深夜作業が多いので、業者絡みで起こされることが度々あります。
- 事前に貸し出した鍵だけでは足りずに解錠依頼
- 活線作業をしてブレーカートリップさせる
- 養生なしで防虫作業をして煙感知器の発報
- 図面を見せてくれ
作業申請などで段取りは確認していても、予定外の呼び出しが発生しがちです。業者も何かあれば「とりあえずビルメンを呼ぼう」というノリです。
1つ1つの対応内容は大したことなく、すぐに仮眠に戻れますが、内容が「そんなことで…」と思うと精神的ダメージは大きいです。
⑥ 夜間作業の音で起きてしまう
精神的ダメージ度:★★★☆☆
あるある度:★★★★★
【商業施設】
清掃音、業者の出入り、扉の開閉音などで起きてしまうことも多々ありました。仮眠室の場所が悪い現場だと、対応がなかったとしても起きてしまい精神的にキツイです。静かな場所に仮眠室がある現場はアタリ現場だと思います。
私は割とすぐ寝直せましたが、人によっては耳栓必須です。
⑦ 自然災害(台風・地震)
精神的ダメージ度:★★★☆☆
あるある度:★☆☆☆☆
【商業施設での経験】
雨に弱い建物だったので台風の日は必ずトラブルに発展します。建物だけでなく、屋外分電盤も雨に弱く、雨水が侵入して火を吹いたことがあります。もちろん火災案件なので、夜間から起きて昼間まで消防関係者の対応で明け残業です。
地震については、震度3以上の場合は「地震発生時の対応」として各設備の点検を実施します。現場ルールとして、深夜だとしてもリアルタイムでビルマネへの第一報連絡を入れたりします。
自然災害は運が悪かったと思うしかありません。
⑧ 地区停電で大混乱
精神的ダメージ度:★☆☆☆☆
あるある度:★☆☆☆☆
【商業施設での経験】
台風の影響で地区停電が発生したことがあります。深夜の警報で起こされ、寝起きだからなのか最初は何が起きたのかわかりません。警報画面に表示されるいろんな警報ログのせいで、元の原因がなんなのか混乱。発電機の稼働でようやく停電だと気付きました。
復電まで半日以上かかり、その日は一睡もできませんでした。ただ、非日常すぎて精神的ダメージは意外と少なかったです。
電力会社のトラブルなので復電を待つだけでした。
⑨ 着信音・アラームが鳴る
精神的ダメージ度:★★★☆☆
あるある度:★★★★☆
どこの現場でも宿直者は「専用携帯」を持たされているかと思います。深夜に警備や業者から携帯に着信が入ることがあります。着信音にビクッとするので、心臓に悪い起き方でした。
深夜トラブルにおける「起こされる方法」は現場によって様々だと思いますが、私の経験した現場では下記のパターンでした。
- 警備や業者は、用事があれば宿直携帯に電話をかけてくる
- 警備員が仮眠室のドアをゴンゴン叩いて起こされる
- 中央監視の発報と連動して、仮眠室にある携帯が鳴る
宿直携帯で起こされるときはトラブル対応の場合なので仕方がありませんが、相方ビルメンの個人携帯の着信や、意味のわからない時間のアラームでも起こされるときがあります。
⑩ 相方ビルメンに起こされる
精神的ダメージ度:★★★★★
あるある度:★★★★★
一番の「ビルメンあるある」かもしれません。
2人以上の宿直現場では、1人ずつ交代で仮眠を取る場合もありますが、私の経験では2〜3人で同時に仮眠に入っていました。その相方ビルメンの行動で起こされることがあります。
- 相方ビルメンの大きなイビキ
- 相方ビルメンがトイレに起きる物音
- トイレへ行く際、配慮のない扉の大きい音
- 早起きビルメンの容赦のない早起きアラーム
- 眠りにつく頃、遅寝ビルメンの入室する音
- 相方の行動で2段ベッドが揺れる
警報ではなく、人の行動で起こされるパターンです。年配ビルメンはイビキが大きかったり、トイレが近かったり、早起きだったり、扉の音への配慮がなかったり厄介です。トラブル対応としては1人宿直は不安ですが、仮眠のしやすさで言えば1人宿直が一番気が楽でしたね。
相方ビルメンの組み合わせもまた「ガチャ要素」です。耳栓をするのが解決策ですが、警報や呼び出しに反応できなくなるデメリットに注意してください。
たむいつもイビキがうるさい年配ビルメンが、急にピタッと呼吸が止まるとヒヤヒヤして眠れなくなります。
【まとめ】宿直ビルメンの仮眠は「運」次第
こうやってまとめてみて気が付きましたが、オフィスビルでは起こさる設備的トラブルは今のところありませんでした。仮眠時間まで平和な物件です。
商業施設では夜間作業が多く深夜トラブルで起こされやすいですが、24時間稼働の病院やホテルだったら、もっと大変な思いをするかと思います。初心者ビルメンの場合、激務な現場での「経験」は、その先の転職で役に立つ「武器」になります。
トラブルは「当たらなくてラッキー」ではなく、「経験したもの勝ち」だと思ってください。当たらなかったビルメンよりも経験値が上がります。
激務現場も経験としては面白いものなので、初心者ビルメンの方はぜひ経験してみてください。


